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システム開発業界は、社会のデジタル化が進む中でどんどん存在感を増している業界です。 でも、実際にどんな仕事をしているのか、詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。 「プログラミングだけをひたすらやる仕事でしょ?」と思われがちですが、実際にはもっと幅広い役割があります。 お客様の課題を整理したり、プロジェクト全体を管理したり、システムの品質をチェックしたり、サーバーやネットワークを運用したり。「システム開発」という一言では語りきれないほど、多様な仕事が存在しています。 この記事では、システム開発業界の主要な領域や職種、身につくスキル、向いている人の特徴、そして会社説明会で確認すべきポイントまで、まとめてご紹介します。
システム開発業界とは?
システム開発業界とは、企業や官公庁が使う情報システム(ソフトウェア)を企画・設計・開発・運用する業界のことです。 みなさんが日常的に使っているスマホアプリやECサイトのように、 直接触れるものもあれば、銀行の送金システム、病院の電子カルテ、市役所の住民記録システムのように、普段は目に見えないけれど社会の裏側でしっかり動いているシステムもたくさんあります。
システム開発業界のしくみと社会での役割
システム開発は、課題整理から設計、開発、テスト、導入、運用まで、複数の工程を経て完成します。 各工程で異なる専門性を持つメンバーがチームとなり、一つのシステムを作り上げていきます。 完成したシステムは、企業の業務効率化や医療・教育・物流など、社会インフラの基盤を支えています。 私たちの日常生活も、目に見えないところで多くのシステムに支えられているのです。 近年、技術環境は大きく変化しました。 かつては企業が自社で大型コンピューター(サーバー)を購入・管理するのが一般的でしたが、現在はクラウドサービスを活用したシステム構築が主流です。 NetflixやSpotifyのように、必要なときに必要な分だけ使える仕組みが、企業向けシステムでも当たり前になっています。
システム開発業界の主要5領域(企業の仕事)
ここでは、システム業界で働くうえで中心となる5つの主要領域を紹介します。
① SIer・受託開発(システムインテグレーション)
SIer・受託開発 は、お客様の「こんなシステムが欲しい」という要望を受けて、課題の整理から設計、開発、導入、運用までを一貫して提供する仕事です。
たとえば、「在庫管理が複雑で困っている」という製造業のお客様に対して、業務の流れをヒアリングし、最適なシステムを提案・構築していきます。
企業によっては、大企業の基幹システムや官公庁のシステムなど、大規模な案件を扱うこともあり、お客様の業務を深く理解しながら最適な形を作り上げていきます。
②自社開発・プロダクト開発
商品企画・デザイン は、自社のサービスやプロダクトを企画から開発、運用まで一貫して担う仕事です。ECサイトやスマホアプリ、企業向けのSaaSサービス(クラウド上で使えるソフトウェア)など、自分たちが作ったものをユーザーが実際にどう使っているのか、どんな反応があるのかを近くで捉えながら改善していける魅力があります。
③インフラ・クラウド設計/運用
インフラ・クラウド設計/運用 は、システムの土台となるサーバー、ネットワーク、データベース、クラウド環境を構築・管理する仕事です。アプリやWebサイトがユーザーの目に触れる「表側」だとすれば、インフラは「裏側」を支える縁の下の力持ち。システムが24時間365日、安定して動き続けるよう、監視・保守・セキュリティ対策を行います。
④ プロジェクト管理・上流工程
プロジェクト管理・上流工程 は、「何を作るべきか」を顧客と一緒に整理し、プロジェクト全体をマネジメントする仕事です。 PM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)、ITアーキテクトなどが該当します。
職種例
PM(プロジェクトマネージャー)
プロジェクト全体の責任者。スケジュールや予算、メンバー体制を管理し、
計画通りに進むよう調整する役割です。
「いつまでに、誰が、何をするか」を決め、
トラブルが起きたときにも冷静に対応します。
PL(プロジェクトリーダー)
開発現場のまとめ役。日々の作業を管理し、
チームが円滑に動くようサポートする役割です。
メンバーの相談に乗ったり、
作業の優先順位を調整したりします。
ITアーキテクト
システムの設計担当。
どの技術を使い、どのような構造でシステムを作るかを考える役割です。
「この技術を使えば、将来の拡張もしやすい」といった
長期的な視点で設計します。
⑤品質管理・テスト/運用保守
品質管理・テスト/運用保守 は、システムが正しく動くかをチェックし、リリース後も安定稼働を支える仕事です。
「このボタンを押したらちゃんと動くか」「想定外の操作をしてもエラーが出ないか」といったテスト設計や、バグの検証、品質基準の管理を担当します。また、システムが公開された後も、運用監視や障害対応を通じて、ユーザーが安心して使える環境を守り続けます。地道ですが、システムの信頼性を支える重要な役割です。
就活生が抱きやすいイメージと実際のギャップ
システム開発業界に対して、「仕事はプログラミングばかり」「未経験では通用しないのでは」といったイメージを持つ学生は少なくありません。 しかし実際には、開発現場には設計・進行管理・調整役など多様な役割があり、必ずしも最初から高度なプログラミングスキルが求められるわけではありません。 新卒採用を行っている企業の中は、未経験からの育成を前提とした研修やOJT(実務を通じた教育)を用意している企業もあります。不安があれば、説明会で「研修期間や内容「メンター制度の有無」を具体的に聞いてみましょう。
システム開発業界で身につく3つのスキル
ここでは、システム開発業界で身につく代表的な3つのスキルを解説します。
● 課題整理・要件定義力 「お客様は何に困っているのか」「本当に解くべき課題は何か」を言語化する力が、システム開発では欠かせません。曖昧な要望を具体的な仕様に落とし込む経験を重ねることで、問題の本質を見抜き、整理する力が身についていきます。
● プロジェクト推進・調整力 システム開発では、複数のメンバーやチームと連携しながらプロジェクトを進めていきます。タスクを分解し、進捗を管理し、関係者と調整しながら納期までに成果を出す。そんな経験を積むことで、俯瞰しながら物事を前に進める力が身につきやすい環境です。
● データで判断する力・品質意識 システム開発では、KPIやログ、テスト結果などのデータをもとに判断する場面が多くあります。「なんとなく」ではなく、根拠を持って意思決定する習慣が身につきやすい環境です。
システム開発業界に合っている人の特徴
「自分はこの業界に向いているのかな?」そう感じている人もいるかもしれません。 ここでは、システム開発業界で活躍している人に共通する特徴を3つ紹介します。① 変化を前提に、学び続けることを楽しめる人 新しい言語やフレームワークが登場したり、クラウドやAIの活用が進んだり、「去年と同じ」が通用しない環境です。「次は何を学ぼうか」と前向きに捉えられる人は合っているといえます。② 「正解が曖昧」な状況から、仮説を立てて進められる人 システム開発では、最初から完璧な答えが用意されていることは少なく、「こうすればうまくいくかも」と仮説を立てながら試行錯誤していく場面が多くあります。不確実な状況でも、まずは仮説を立てて動いてみる。そして結果を見て修正していく。そんな進め方を楽しめる人は、力を発揮しやすい環境です。③ チームで成果を出すことに喜びを感じる人 開発者同士で連携したり、設計・開発・テスト・運用が協力してシステムを届けたり、チームワークが欠かせない仕事です。みんなで良いものを作りたい」という気持ちがある人は、この業界に向いています。
システム開発業界|キャリアモデル紹介
システム開発業界は、まず実装・テスト・運用などで基礎を固め、そこで身につけた技術力・業務理解・品質観点を土台にキャリアを広げていくのが一般的です。 入社1〜2年目は開発フローや品質の見方、業務理解を学び、2〜4年目あたりが分岐点になりやすいと言われています。上流工程(要件定義・設計)に寄せる人、技術専門(クラウド・データ・セキュリティ等)に寄せる人、PM・PL(プロジェクト管理・対人折衝)に寄せる人など、それぞれの適性や興味に応じて進む道が分かれていきます。 一方「もっと上流や専門領域に挑戦したい」といった理由で、2〜4年目あたりで転職を考える人も一定数いると言われています。 説明会やOB・OG訪問では「どんな経験を積んだ人が次のステップに進んでいるのか」「キャリア支援制度はあるか」を確認しておくと安心です。
システム開発業界が向き合う社会課題
日本は少子高齢化により、働く人が不足しています。人手が足りないのに、仕事は増える一方という状況に対し、システム開発業界はさまざまな解決策を提供しています。 たとえば、RPAという技術を使えば、これまで人が何時間もかけていた請求書の処理やデータ入力をパソコンが自動でやってくれます。 繰り返しの単純作業から解放されることで、社員はアイデアを出したり、お客様と向き合ったりする、より価値の高い仕事に時間を使えるようになります。 また、役所の手続きや企業の勤怠管理などで「まだ紙とハンコ?」と感じたことはありませんか? 古いシステムを新しくすることで、スマホ一つで申請が完了したり、ミスなく瞬時に処理できたりするようになります。 こうした取り組みは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」 と呼ばれ、社会全体をもっと便利で効率的にする力になっています。
システム開発業界のよくあるQ&A! ギャップをなくすためにチェックしたい先回り質問
説明会やインターンではシステム開発企業の実態と自分の希望にギャップがないかを確かめるために、逆質問を用意しておくことが重要 です。 下記では、入社後に「思っていたのと違った…」を防ぐための、先回り質問 を紹介します。
Q. 未経験でも入社できますか?
A.入社時点で高度な実装力を必須にしない企業もあります。ただし、入社後に伸びやすい環境かどうかは、研修に加えて、配属後のレビュー体制や段階的な難易度設計なども含めて総合的に左右されます。
先回り質問: 「研修期間や内容を教えてください」「配属はどのように決まりますか?」「メンターやOJT体制はありますか?」「未経験入社の1年目は、どんな成果物を目標にしますか?」
Q. 給与水準はどのくらいですか?
A. 配属や案件によって、担当する工程は異なります。テストや運用保守からスタートし、徐々に開発に関わっていく企業もあれば、最初から開発に携わる企業もあります。また、開発以外にも要件定義や設計、プロジェクト管理など、多様な役割があります。
先回り質問: 「新人はどの工程から担当することが多いですか?」「配属先はどのように決まりますか?」「開発工程に関わるまでの期間はどれくらいですか?」
まとめ
システム開発業界は、単にシステムを作る仕事ではなく、企業や社会が抱える課題を整理し、技術を使って「仕組み」で解決していく業界 です。 実際には、担当する工程や成長の仕方は企業ごとに大きく異なります。 もし少しでも興味が湧いたら、説明会や逆質問では、仕事内容や育成の考え方を具体的に聞きながら、自分に合う環境かを確かめてみてください。