インテリアコーディネーター
公開日
2022.01.21

インテリアコーディネーター

インテリアコーディネーターとは、インテリアの組み合わせについて提案する職業です。

対象となる空間は住宅をはじめ、オフィスや店舗、公共施設、医療施設、商業施設などさまざま。照明器具や壁紙、カーテン、キッチン設備、家具、床材などの内装を、用途やデザインを加味してバランス良く組み合わせます。

見た目の好みだけでなく、住宅であれば住む人のライフスタイルや住みやすさ、オフィスであれば企業イメージや機能など、依頼主の希望に応じてアドバイスすることが大切です。

インテリアコーディネーターは、住宅メーカーやリフォーム会社、建築事務所などの住宅業界、家具や住宅設備のメーカー、インテリアショップなど、人々の暮らしを彩るさまざまな場所で活躍しています。

評価・満足度

総合評価 3.0
平均年収
380万円
最高年収
1,000万円
やりがい
3.0
給与・年収
3.0
専門性
3.0
将来性
3.0
休日・待遇
3.0

インテリアコーディネーターの主な仕事内容

私たちの生活にも身近なインテリアコーディネーター。具体的にどんな仕事をしているのでしょうか。

受注

企業に属しているインテリアコーディネーターには、企業を通して仕事の依頼が来ます。店舗やショールームに見学に来たお客に営業することも。

フリーランスとして独立している場合は、ホームページやSNSを活用して集客したり、クラウドソーシングに登録してコンペで受注したりと、営業活動をする必要があります。知人からの紹介や口コミから仕事を受注することもあるでしょう。

打ち合わせ・ヒアリング

依頼主と打ち合わせをし、用途や空間イメージ、予算、スケジュールなどをヒアリング。例えば、住宅であれば、家族構成や趣味に至るまで詳細に確認します。

どれだけ細かく情報を引き出せるかによって、後の提案も納品後のイメージも依頼主の希望とマッチしやすくなるでしょう。

インテリアコーディネーターは、インテリアが好きなコーディネーター好みの空間を作るのではなく、依頼主にとって使いやすく居心地の良い理想の空間をかなえることが大切です。

提案

ヒアリングした内容をもとに、全体の雰囲気や素材、カラーをはじめ、壁紙、天井、床、家具、カーテン、照明器具などの内装についても、具体的なプランを立てます。空間のコンセプトやテーマを決めたり、壁の場所や窓の位置、設備を調整することも。

それを図面やカタログ、立体モデルを使ってイメージをビジュアル化して、依頼主に提案するのです。

必要があれば修正・変更しながら、依頼主が納得できるよう微調整して、内装を決定します。

発注

内装と金額、スケジュールが決まったら、必要な商品をショップやメーカーに発注。内装工事が必要な場合は、業者に依頼します。

納品・アフターフォロー

商品が届いたら、注文通りの内容か確認します。家具や照明器具を設置し、当初のプラン通りか最終チェックを行ってから、依頼主に引き渡します。

完成して依頼主に引き渡したら終わりではなく、実際に使ってみてプラン通りか、不具合はないか、などのアフターフォローも欠かせません。

インテリアコーディネーターの年収

インテリアコーディネーターの平均年収は、380万円程度。フリーランスとして独立している人気のインテリアコーディネーターは、年収1,000万円以上稼ぐ人もいます。

インテリアコーディネーターの年収は、雇用形態や仕事内容などによってかなり幅があるのです。また、地方より首都圏で勤務する方が年収が高い傾向にあります。

まず、インテリアコーディネーターとして企業に属している場合。経験年数が長くなると年収も上がりますが、正社員で働く人と派遣やパートで働く人には差があるでしょう。正社員であればボーナスがあり、資格手当がつくことも。管理職になるとさらに役職手当がつくため、年収はアップします。

一方で、インテリアコーディネーターの資格があることで、出産や育児を経てパートや派遣社員として職場復帰する人もいるでしょう。ワークライフバランスを優先した働き方となるため、いったん収入はダウンすることになります。しかし、将来的に正社員としてフルタイムで働けるようになれば、収入もまた上がるのです。

次に、勤務先によっても年収は変わります。建築事務所やリフォーム会社などで、設計から携わる場合と、家具店やインテリアショップなどで販売をメインに行う場合。

設計から携わる方がより専門的であり、深い知識を要するため、基本給が高い傾向にあります。しかし販売業務を主に行う場合は、基本給が高くなくても売上目標を達成することで、インセンティブが発生するケースも。

フリーランスのインテリアコーディネーターとして独立している場合は、営業から事務処理まで全て自分でやらなければならず、顧客獲得のための営業活動も必要です。

しかし、その分報酬がすべて自分に入るため、成功する人は高い年収を稼いでいます。

このようにインテリアコーディネーターの年収は、雇用形態や仕事内容、勤務地などによって幅があると言えるでしょう。

インテリアコーディネーターに求められるスキル

家具やインテリアが好きな人に人気のインテリアコーディネーターの仕事。どのようなスキルが求められるのでしょうか。

デザインセンス

インテリアコーディネーターには、空間を美しくバランス良く演出できる、デザインセンスが求められます。

この壁紙にはどんな照明器具が合うか、家具の配置バランスはどうか、インテリア素材はどんなものが合うか、デザインセンスや色彩感覚が活かされる仕事なのです。もちろん前提として、インテリア製品について深い知識があること、インテリアの流行をおさえていることなどが挙げられます。

インテリアコーディネーターに求められるセンスは、生まれ持ったものだけでなく、後天的に学び、身につけられるもの。例えば、さまざまなインテリアや家具を見たり、美術展に足を運んだり、アートに触れたりしてセンスや色彩感覚、バランス感覚を磨きます。

センスと言っても、芸術家のような奇抜で独創的なセンスが求められるわけではありません。インテリアコーディネーターには、誰もが心地よく安らげる空間、多くの人が好む美しさやおしゃれさを演出するデザインセンスが求められるのです。

想像力

インテリアコーディネーターは、想像力が求められる仕事。依頼主にとってどんな設備があれば暮らしやすいか、実際に利用してみた時に困ることはないか、など想像する必要があるのです。

依頼主には、「こういう空間にしたい」というイメージがあります。しかし、インテリアのプロではありません。そのため、実用的でないデザインを要求したり、狭い選択肢でのアイデアに固執したりすることも。

インテリアコーディネーターはプロの視点で、どのようにしたら依頼主の希望がかなうか、希望をかなえた場合に不具合は起きないか、などさまざまな想像をして、できる限り依頼主の希望に沿ったインテリアを組み合わせ提案します。

また、想像力があることで、依頼主の要望を理解しやすく、一歩先を行く提案ができるでしょう。

インテリアコーディネーターは今だけを見るのではなく、10年後の暮らしや20~30年後にリフォームやリノベーションをすることも念頭に置いた提案も必要になります。

インテリアコーディネーターは、未来を想像する力も必要なのです。

コミュニケーション能力

インテリアコーディネーターには、コミュニケーション能力が求められます。依頼主の要望を聞き出す、発注時には業者と交渉する、依頼主にプランを分かりやすく説明し納得してもらう、など、人とのやりとりが多い仕事であるからです。

インテリアコーディネーターの仕事は、依頼主が話しやすい雰囲気を作り、情報を引き出すことからスタートします。依頼主にとってより良い空間となるよう、分かりやすく説得力ある提案・アドバイスも重要でしょう。

フリーランスとして独立している場合は、顧客獲得のための営業活動も必要不可欠です。自分自身を売り込み、依頼主に仕事を任せてもらえるよう、信頼してもらえるよう、魅力的なプレゼンをしなければなりません。

このようにインテリアコーディネーターには、さまざまな人と十分なコミュニケーションをとる能力が求められるのです。

インテリアコーディネーターに役立つ資格・スキル・経験

インテリアコーディネーターとして活躍するために、役立つ資格について紹介しましょう。

インテリアコーディネーター資格

インテリアコーディネーター資格とは、公益社団法人インテリア産業協会が認定している民間資格です。資格を取得することで、住宅メーカー、建築事務所、家具メーカー、インテリアショップなどで、内装や商品選択の提案・アドバイスができます。

受験資格は特になく、年齢、経験、性別、国籍問わず、誰でも受験できます。そのため、インテリア業界で働く人だけでなく、インテリアに興味のある人や学生でも受けられる資格です。合格率は20~25%程度で比較的難易度の高い資格と言えるでしょう。

一次試験は、マークシート方式で、インテリアに関する知識が問われます。試験範囲は以下です。

  • インテリアコーディネーターの誕生とその背景に関すること
  • インテリアコーディネーターの仕事に関すること
  • インテリアの歴史に関すること
  • インテリアコーディネーションの計画に関すること
  • インテリアエレメント・関連エレメントに関すること
  • インテリアの構造・構法と仕上げに関すること
  • 環境と設備に関すること
  • インテリアコーディネーションの表現に関すること
  • インテリア関連の法規、規格、制度に関すること

二次試験は、論文とプレゼンテーションの試験。内容はインテリア計画およびそのプレゼンテーションに関する内容です。

一次・二次ともに合格し、登録手続きが完了すると協会認定のインテリアコーディネーターとして登録され、インテリアコーディネーター証が交付されます。

インテリアデザイナー資格検定

インテリアデザイナー資格検定とは、日本デザインプランナー協会が運営する民間資格です。

インテリアコーディネーターが、さまざまなインテリアを組み合わせて空間を作り上げるのに対して、インテリアデザイナーは、室内空間全体のデザインが主な業務。

試験では、家具や照明器具などのインテリアに関する基礎知識はもちろん、販売や技術に関してなどインテリアに関する幅広い基礎知識が問われます。

受験資格は特になく、インターネットからの申し込みで、在宅受験可能。合格率は30%程度と言われています。

キッチンスペシャリスト資格

キッチンスペシャリスト資格は、インテリアコーディネーター資格と同じく、公益社団法人インテリア産業協会が主催する民間資格です。

キッチンスペシャリストは、快適で使いやすいキッチン空間を提案し、建築や施工につなぐ仕事をします。キッチンに特化して設計から施工まで携わるため、高度な専門知識が必要に。

資格取得後は、キッチンメーカーのショールームで働く人が多く、依頼主からの水回りの相談やキッチン設計のアドバイスを行います。

キッチンスペシャリスト資格は、学科試験と実技試験があり、学科試験はキッチンに関する知識が問われるマークシート方式。実技試験は図面とキッチンの企画提案に関する筆記試験です。

受験資格はなく、誰でも受験可能。試験合格後に協会に登録すると、キッチンスペシャリストの称号と資格証を付与します。

インテリアコーディネーターの仕事の厳しさ

華やかで洗練されたイメージのあるインテリアコーディネーターの仕事。大変なこと、つらいことはあるのでしょうか。

メーカーとのやりとり

インテリアコーディネーターは、やりとりをするメーカーの数が非常に多いです。さまざまな種類の家具や照明器具、ファブリックなどを扱うため、多くのメーカーへの発注や交渉が発生します。

例えば、依頼主の要望に沿った空間にするために、壁紙を発注するメーカー、照明器具を発注するメーカー、家具はまた違うメーカー、と多くのメーカーとやりとりをして、発注しなければなりません。そしてそれぞれのメーカーから、正しい商品が納品されるまで管理する必要があります。

このように各メーカーへの発注や納品をまとめて管理し、円滑に進めるよう交渉するのは、大変な作業なのです。

トラブルやクレームが多い

インテリアコーディネーターの仕事は、業者や依頼主とのやりとりが多いため、どうしてもトラブルやクレームが発生します。

業者とのトラブルでは、納期が間に合わない、発注ミスなどが考えられるでしょう。依頼主とのトラブルでは、思っていた商品と違う、仕上がりに納得いかない、工事のミスなどが挙げられます。他にもお金のトラブルやスケジュール上のトラブルなどが起こることも。

インテリアコーディネーターの仕事は、住宅や施設、オフィスといった、依頼主にとって大切でかけがえのない空間を創り出す仕事。

それゆえに期待されることも大きく、ちょっとしたミスや勘違い、遅延でも、トラブルやクレームに発展してしまうのです。

時間が不規則で休みづらい

インテリアコーディネーターの仕事は、依頼主の要望を優先させなければならないため、時間が不規則になったり、休みが取りづらかったりします。

依頼主との打ち合わせは、仕事の休みの日や平日の夕方以降になることが多いです。インテリアや家具を扱うショップに勤務する場合は、週末が混むため、土日祝日は休みにくい現状があります。さらに打ち合わせのアポイントがあるため、急な休みを取ることも難しいでしょう。

そのためインテリアコーディネーターには、帰宅時間が遅くなったり、思い通りに休みが取れなかったり、といった大変さがあるのです。

インテリアコーディネーターに向いている人

どのような人がインテリアコーディネーターに向いているのでしょうか。以下に解説します。

人と接するのが好きな人

インテリアコーディネーターは、接客業と言えるくらい人と接するのが多い仕事です。

まず、依頼主の要望を丁寧にヒアリングし、その人の立場に立って親身にアドバイスを行います。そして建設会社やメーカーと円滑にコミュニケーションをとって依頼主とつなぐパイプ役にも。

とにかく人と接する機会が多いため、人の役に立ちたいと思える人や、人と話をするのが好きな人に向いている職業と言えるでしょう。

インテリアが好きな人

インテリアコーディネーターとして長く活躍するためには、インテリアが好きであることが不可欠です。

家具や照明器具、カーテン、床材など一つひとつの商品にはものすごい数の種類があり、それぞれの特徴や機能が違います。インテリアコーディネーターは、それらを把握して、依頼主にも的確に説明する必要があるのです。

インテリアに興味がなかったり、好きでなかったりすると、覚えるのも大変ですし、それは依頼主や業者にも伝わってしまうもの

インテリアコーディネーターは、常にインテリアに囲まれて、インテリアについて考える仕事です。そのため、インテリアが好きな人に向いている職業と言えるでしょう。

流行に敏感な人

インテリアコーディネーターは、流行に敏感な人に向いている職業です。

インテリアも時代ごとに流行があります。商品の流行や新商品の情報を把握するのは、インテリアコーディネーターにとって重要なこと。依頼主には、流行のインテリアや、それが流行る理由について説明する機会がたくさんあるのです。

そのため、世代や業界ごとに流行っている情報をキャッチしたり、新商品の発表や展示会などに足を運んだりと、常に流行に触れて学ぶ必要があります。

また、人気のある商品、空間には、それなりの理由があるのです。それを知ることで自身のインテリアの世界も広がり、依頼主への説得力ある提案ができるようになるでしょう。

インテリアコーディネーターになるには

インテリアコーディネーターになるためには、どのようなルートがあるのでしょうか。以下に詳しく解説します。

学校でインテリアについて学ぶ

大学や短大、専門学校の建築学科やインテリア学科などに進学して、インテリアについて学んでから、住宅メーカーや家具メーカー、建築事務所に就職するルートがあります。

在学中にインテリアコーディネーターの資格を取得しておくと、就職に有利になるでしょう。就職して実務経験を積みながら、資格を取得する人も。

また、インテリア関連の会社にほかの職種で就職し、働きながら資格を取得した後、希望の職種・部署へと異動する人もいます。

資格を取得して転職する

異業種で働いていて、インテリアコーディネーターの資格を取得してから、インテリア関連の会社へ転職する人もいます。

未経験からインテリアコーディネーターとして転職するのは簡単ではありません。しかし資格を持っていることで、必要最低限のインテリアの知識があることが保証されるため、採用される可能性は高くなるでしょう。

インテリアコーディネーターの資格を取得するには、市販されている参考書や過去問集を活用して勉強するか、通信講座や専門学校に通って勉強する方法も。出題範囲が広いため、しっかり対策して学ぶ必要があります。

アシスタントとして実績を積む

インテリアコーディネーターは、経験や実績が重視される仕事です。未経験や無資格でインテリアコーディネーターを目指す人には、まずアシスタントとして勤務して経験を積むといったルートもあります。

その場合、契約社員やアルバイトといった雇用形態や、給与があまり高くないことも。

しかし、インテリアコーディネーターの実際の仕事ぶりを間近で学ぶチャンスとも言えます。アシスタントとして働きながら、インテリアコーディネーターの資格を取るのも一つの選択肢です。

アシスタントとして経験を積み、知識を身につけてから、インテリアコーディネーターとしての就職を改めて目指すという道もあるでしょう。

インテリアコーディネーターのキャリアパス

インテリアコーディネーターのキャリアには、将来的にどのような選択肢があるのでしょうか。

多くの人は、住宅メーカーや家具メーカー、建築事務所に勤務して、キャリアを積みながら昇格していきます。

特に大手企業であれば、社内で実績を積み、管理職や収入アップを目指す人が多いでしょう。中には同じ業界の中で良い条件や理想の働き方を目指して転職する人もいます。

インテリアコーディネーターとしてキャリアを重ね、新たな関連分野へと挑戦する人も。

例えば、インテリアデザイナーになると、インテリアの配置だけでなく、壁や窓の配置、給水設備の設置など、より建築に関わる内装全般のデザインができるようになります。

家具や照明器具、内装など理想のインテリアを作りたくてインテリア設計士を目指す人もいるでしょう。

女性であれば、主婦としての生活や子育て世代にとって理想のインテリアなど、あらゆる経験がインテリアコーディネーターの仕事に活かせます。そのため、出産や育児を機にいったん仕事から離れても、復帰しやすい職業とも言えます。

また、キャリアを積んで自信がつくと、独立してフリーランスのインテリアコーディネーターとして活躍する人もいるでしょう。

このように、インテリアコーディネーターのキャリアパスは多様で、さまざまな方向へと可能性を広げていける職業なのです。

評判・口コミ

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