イラストレーター
公開日
2021.10.11

イラストレーター

イラストレーターとは、クライアントの要望に応じて目的に合ったイラストを描く職業。

制作するイラストは、雑誌、広告、ポスターなどの紙媒体、Webサイトやアニメ、ゲームのイラストといったものが主です。さらには工業製品や医療の分野で専門的なイラストを描いたり、絵本の挿絵や似顔絵、アイコン、キャラクターを作ることも。

イラストレーターが活躍する分野・ジャンルはさまざまで、携わる業界によって異なる手法でイラストを制作します。

また、制作会社やデザイン事務所に所属するイラストレーターもいる一方で、実績を積んでフリーランスとして活躍するイラストレーター、副業としてスキマ時間にイラストを描くイラストレーターなど、働き方の選択肢も多い職業です。

評価・満足度

総合評価 3.0
平均年収
300万円
最高年収
1,000万円
やりがい
3.0
給与・年収
3.0
専門性
3.0
将来性
3.0
休日・待遇
3.0

イラストレーターの主な仕事内容

イラストレーターとは、自由に描きたい絵を描くだけの職業ではありません。

クライアントの依頼や要望に沿ったイラストを納期までに描き上げ納品する必要があるのです。以下にイラストレーターの具体的な仕事内容について解説します。

打ち合わせ・契約

まず、どのようなイラストを描く必要があるかクライアントのニーズを把握するところからスタート。

企業に属するイラストレーターの場合は、仕事の受注や交渉については企業側が行います。その後どういった作品をいつまでに納品するか、クライアントの要望について社内にてすり合わせした上で、作品制作に取りかかるのが一般的です。

フリーランスや副業でイラストを描く場合は、クライアントから仕事を発注・依頼されることもあれば、イラストレーター自身が企業や団体に営業をかけることも。

クライアントと作品の内容、作品点数、納期、報酬について打ち合わせをして、双方の合意のもとで契約を結びます。その後、制作に取りかかるといった流れになるでしょう。

ラフ画の提示・修正

完成品のおおまかなイメージに基づいて、ラフ画の制作を開始します。

イラストの雰囲気やカラー、イメージなどを細かく指定されているケースもあれば、ざっくりとした条件だけ伝えられて複数ラフ画を制作してクライアントに選んでもらうケースも。

ラフ画をクライアントに確認してもらい、必要があれば修正・再提示を繰り返すことで完成品の方向性を固めます。

制作・納品

クライアントと完成品の方向性を共有できたら、本番の制作を開始します。

ラフ画の時点で完成品のイメージがしっかり共有されていれば、大きな修正が入らずにイラストを完成させられるでしょう。クライアントによっては制作の途中や色を入れる段階で確認を取ることもあります。

作品が完成したらクライアントと最終確認を行い、問題がなければ納品し完了です。

イラストレーターの年収

イラストレーターの年収は、企業に所属しているか、フリーランスとして仕事をしているかによって傾向が異なります。

企業に所属するイラストレーターの場合、作品数や1点あたりの報酬額に関わらず固定給として給与が支払われます。イラストレーターの平均年収は、日本の労働者の平均年収と比較すると低い傾向に。

もちろん働くエリアや経験年数、ジャンルなどにもよるでしょう。一方で、イラストレーターとして経験・実績を積んでから、年収アップを狙って転職する人も多くいます。

また、フリーランスや副業ワーカーの場合、「1枚のイラストでいくら」「1カットでいくら」といった金額設定が基本のため、イラストを制作した分がそのまま自分の収入に。得意分野を確立したり、専門分野に特化したり、スキルや経験が伴ってくれば単価は上がり、収入も上がるでしょう。

逆に言えば、仕事がなかなか入ってこない場合は、その分収入も下がります。安定して稼ぐためには、取引先を増やしたり、単価アップを交渉するといった工夫が必要になるのです。

イラストレーターの年収は実力次第であり、売れっ子のイラストレーターとそうでない人との年収格差は非常に大きいと言えるでしょう。

イラストレーターに求められるスキル

イラストレーターは絵がうまい人、絵を描くのが好きな人にとって憧れの職種。ではイラストレーターになるためには、どんなスキルが求められるのでしょうか?

画力

イラストレーターにとって画力は、第一に求められるスキルと言えるでしょう。「絵を描くのが得意」というだけではなく、プロのイラストレーターとして、クライアントの要望に沿ったイラストを納期までに仕上げるための画力が必要です。

デッサンのような基本技術に加えて色彩感覚や造形感覚、空間の使い方や全体のバランスまで意識して描くスキルが重要になります。

また、一日中ひたすら絵を描いていても苦にならないほど、絵が好きであることもイラストレーターにとって大切な要素。プロとして画力を磨き続けるためにも、新しい技術を習得し、デッサンの練習を地道に続けるためにも「絵を描くのが好き」というのが大前提。

イラストレーターにとって画力、そして画力を磨き続けるために「絵を描くのが好きである」ことが必要不可欠と言えるでしょう。

画像編集ソフトを使いこなす力

イラストレーターがイラストを描くために、画像編集ソフトは欠かせないツール。最近では、コンピュータでイラストを描くのが主流となっているため、定番であるIllustratorやPhotoshopといった画像編集ソフトを使えることは最低限求められます。

これらの画像編集ソフトを使用することで、ペンがなくてもイラストが描け、自由にレイアウトしたり、形状を変えたり、写真を加工できたりと、イラストレーターのできることが広がります。

また最近では、アナログイラストであっても、最終的な納品はデータ化するのがほとんど。そのため、画像編集ソフトを自在に扱えるスキルは全てのイラストレーターにとって必要なスキルなのです。

オリジナリティ

イラストレーターにとって重要なのはオリジナリティ。絵がうまい人は大勢いますが、誰でも書けるような絵を描いても仕事にはつながりにくいでしょう。

プロのイラストレーターとして活躍するためには、独自の作風で描けること、絵を見ただけでそのイラストレーターが描いた絵だと伝わるような個性が求められるのです。

クライアントが仕事を依頼する際も、「絵がうまい人に頼もう」ではなく、過去の作品を見て「このイラストレーターの作風がイメージに合う」といったオリジナリティ重視でイラストレーターを選びます。

コミュニケーション能力

イラストレーターは黙々と絵を描くイメージを持たれがちですが、コミュニケーション能力が必要な場面も多くあります。

イラストレーターは、クライアントの要望に沿った絵を描くのが仕事。そのため、クライアントがイラストに求めている内容を正確に把握するために話し合いを重ねたり、制作の途中でも完成イメージを共有・調整する必要があります。

フリーランスであれば、クライアントへの営業や交渉なども自分で行わなければなりません。

企業に属するイラストレーターであっても、クライアントと直接打ち合わせをしたり、上司を介してクライアントの要望をくみ取るのであれば、なおさらコミュニケーション能力が重要に。

たとえイラストの才能があっても、周囲とのコミュニケーションがうまくとれなければ仕事はスムーズに運ばず、お互いにとって納得できる作品にならないのです。

イラストレーターに役立つ資格・スキル・経験

イラストレーターになるために求められる必須の資格はありません。資格を持っているか否かで待遇が変わることもほぼないと言って良いでしょう。

また、学歴に関しても指定はなく、専門学校で学んでいなくても大丈夫。イラストを描くスキルやセンスさえあれば、誰でもイラストレーターを目指せます。

とはいえ、イラストレーターの仕事に関連する資格はいくつかあります。ここではイラストレーターにとって多少なりとも有利になり得る資格を紹介しましょう。

Illustratorクリエイター能力認定試験

Illustratorクリエイター能力認定試験は、世界基準のグラフィックツール「Illustrator」の活用能力を測定・評価する資格検定試験です。Illustratorとは、イラストを書いたり、文字の装飾やデザインができる、イラストレーターの仕事に欠かせないソフト。

試験内容は、Illustratorの基本的な操作方法を問う知識試験と、指示に従い課題に取り組む実技試験の2つに分かれています。スタンダードはオペレーターやアシスタントレベル、エキスパートはデザイナーやクリエイターとしての業務ができるレベルとしています。

資格取得のための学習をきっかけに、Illustratorの基礎を習得できるため、イラストレーターを目指す初心者におすすめの資格です。受験資格はなく、年齢・経験問わず誰でも受験できます。

Photoshopクリエイター能力認定試験

Photoshopクリエイター能力認定試験は、世界基準のグラフィックツール「Photoshop」の活用能力を測定・評価する資格検定試験です。Photoshopとは、写真の加工やデザインの作成、イラストに色をつけられる画像編集ソフト。

スタンダードとエキスパートの2階級でスキルを測定し、スタンダードは実技試験のみ、エキスパートは実技試験と知識試験によって構成されています。

スタンダードはPhotoshopの基本操作ができるレベルで初心者向け、エキスパートはクライアントの要望に合わせてPhotoshopを活用してデザイン性の高い制作ができるレベルで経験者向け、と言えるでしょう。

受験資格はなく、年齢・経験問わず誰でも受験できます。

アドビ認定アソシエイト(ACA)

IllustratorやPhotoshopを提供しているAdobe社認定の世界共通の国際認定資格。IllustratorとPhotoshopそれぞれに独立して認定試験があり、それぞれに認定されます。

合格すると世界共通の認定証が送られるほか、すぐに使えるデジタル認定証も発行。

IllustratorやPhotoshopなどのAdobe製品に対する基礎知識を問う内容であり、操作方法はもちろん、デザイン全般の基礎スキルが身につくといったメリットも。難易度は、新人クリエーター向けの初級レベルとされています。

また同じくアドビ社認定エキスパートは、さらに専門的な知識と技術が必要となる資格です。

色彩検定・カラーコーディネーター検定試験

いずれも色彩に関する知識を認定する試験です。イラストを描く上で必要となる色の表現方法や色に関する基礎知識を問われます。

配色のルールや色を扱うためのセンスを身につけられるため、イラストレーターに限らず人気のある資格。受験資格はなく、幅広い年齢層のさまざまな職種の人がチャレンジしています。

イラストレーターの仕事の厳しさ

イラストレーターは、絵を描くのが好きな人、絵の得意な人にとって一度は憧れる人気のクリエイティブ職。

しかし、イラストレーターの仕事特有の厳しさもあります。

好きな絵を描けるわけではない

イラストレーターは、クライアントの要望に沿ったイラストを描く必要があるため、自分の好きな絵をただ描いていられるわけではありません。自分の好きな絵を描くことに集中できるのは画家やアーティストのような仕事。

イラストレーターの場合はあくまでビジネスとして、クライアントの求めるイラストを納期までに仕上げなければならないのです。自分で素晴らしいと感じたイラストであっても、クライアントのニーズと合わなければ修正が入ったり、ボツになってしまうことも。

イラストレーターの個性や独自の感性も大切なのですが、一番重要なのはクライアントの求めるものをきちんと理解し描くことなのです。

スランプがある

イラストレーターのようなクリエイティブ職の場合、アイデアが出ない、制作途中で煮詰まってしまった、などスランプに陥ることも。

それでもイラストレーターの仕事にはクライアントと約束した納期があります。限られた時間の中で実力を発揮し、クライアントのニーズに応えなければならないため、時に焦りやプレッシャーも感じるでしょう。

とはいえスランプを乗り越え、クライアントに喜んでもらえた時は格別に嬉しく達成感を感じるもの。イラストレーターはスランプやプレッシャーと闘いながら、自分もクライアントも納得できる作品を生み出していく仕事なのです。

収入が安定しない

フリーランスのイラストレーターは、収入が安定しづらいといった厳しさがあります。企業に属しているイラストレーターには固定給が支払われますが、フリーランスであれば「1枚のイラストでいくら」「1カットでいくら」といった金額設定が基本。

相場はジャンルによりさまざまですが、フリーランスとして独立して食べていくためには、とにかく量を描くか、単価を上げるなど工夫する必要があるのです。好きな絵を好きなだけ好きなペースで描いて、なおかつ収入に困らないのであれば嬉しいですが、ビジネスであればそうもいきません。

しかもフリーランスのイラストレーターは、営業や打ち合わせなども自分で行うため、すべての時間を制作に割けるわけではないのです。そのため、なおさら収入を安定させるのは難しいと言えるでしょう。

安定した収入を得るためには、イラストレーターとして企業に所属するのも一つの選択。

ただし企業に所属することで、自分のやりたい仕事に自由に挑戦できて、自由な場所で自由な時間に仕事ができるといった自由が奪われてしまうといった現実も。そのため、自由を重視する人にとってはフリーランスが向いていると言えます。

イラストレーターに向いている人

では、どんな人がイラストレーターに向いているのでしょうか?ここではイラストレーターに向いている人の特徴について解説します。

絵を描くのが好きな人

イラストレーターとして仕事をするのであれば、絵を描くのが好きでなければ務まりません。「趣味で絵を描くのが好き」くらいの気持ちではイラストレーターとしてモチベーションを維持するのは難しいでしょう。

仕事であれば苦手な分野であっても、クライアントの要望に合わせて書き続けなければならないのです。納期が近づけば朝から晩までイラストのことを考えたり、一日中絵を描き続けなければならないことも。

そのためイラストレーターは、第一に絵を描くのが好きであることが欠かせない要素と言えるでしょう。

オリジナリティを追求できる人

イラストレーターにとってオリジナリティを追求することはとても重要です。イラストレーターの世界では、絵がうまければ成功する、稼げる、というわけではありません。

画力がさほど高くなくても、印象に残る絵が描けることで他のイラストレーターと差別化し成功している人も。そのイラストレーターだからこそ描けるオリジナリティ、個性が求められ、クライアントはそこに惹かれて仕事を依頼するのです。

他の人には描けないイラスト・作風を追い求め、工夫し学び続けられる人こそイラストレーターに向いていると言えるでしょう。

柔軟に意見を受け入れられる人

イラストレーターは、クライアントの意見や要望を素直に聞き入れる柔軟さが必要です。たとえ自分のイラストに自信があっても、クライアントがOKしない限りは何度も修正が入ったり、書き直しになることも。

自分の作品に愛着を持ち、やり方にこだわりや自信を持つのは大切なことですが、あくまでもビジネスである以上はクライアントの意見を素直に受け入れなければなりません。たとえ完成イメージについて調整・交渉するにしても、まずはクライアントの要望を丁寧に傾聴し受け入れる必要があるからです。

そのためイラストレーターは、クライアントや周りの人の意見を柔軟に受け入れられる人が向いていると言えるでしょう。

イラストレーターになるには

イラストレーターは、資格や学歴に関係なく目指せる人気職種。では、イラストレーターになるためには具体的にどうしたら良いのでしょうか?

専門学校・美大で学ぶ

イラストレーターになるために、学校に入って必要な知識や技術を学ぶのが一つの方法。

イラスト専門学校は、イラストレーターになるためにイラストに特化して理論から専門的な技術まで集中して学べます。多くがイラスト業界に就職するため、就職先のサポートやコネクションがあるのも大きなメリットと言えるでしょう。

さまざまな学部がある美術大学・短大であれば、イラストはもちろん美術全般を幅広く学べるため、イラストレーター以外の職種を目指す人も。美術大学・短大を卒業していると、イラストに限らず美術系の就職に有利になります。

イラスト系の会社に入社する

イラストレーターを目指すために、イラストの制作会社やデザイン会社、出版社などに入社して現場で直接技術を学ぶといった方法もあります。毎月安定した収入があり、働きながら技術を学ぶ機会もあり、実績と経験を積んでからフリーランスとして独立することも可能に。

ただし、全くの未経験で転職する場合は狭き門です。そのため就職に有利となるよう、ソフトを使えるようにしておくなり、資格を取得するなり、作品を蓄積しておくなり、努力と工夫が必要でしょう。

ポートフォリオを作って売り込む

イラストレーターになるために、自分の作品を蓄積してポートフォリオを作り、Web上で公開し売り込むといった方法もあります。イラスト業界は実力主義の世界であるため、作品・作風を気に入ってもらえれば仕事を獲得するチャンスも。

ポートフォリオを用意しておくことで、クラウドソーシングやSNS、ブログを活用して営業活動ができます。ただし、未経験で最初からフリーランスのイラストレーターとして安定して働くのは難易度が高いため、副業としてスタートすることも視野に入れると良いですね。

イラストレーターのキャリアパス

イラストレーターのキャリアパスは、働き方によって変わります

まず企業に所属するイラストレーターは、経験と実績を積んだ後にグラフィックデザイナーやWebデザイナーにキャリアアップが可能。イラストを描くだけにとどまらず、デザイン全体の構成やレイアウト、編集、入稿など一環して任せてもらえるため収入も上がるでしょう。

さらにはディレクターやプロデューサーになるといったキャリアパスも存在します。

一方でフリーランスのイラストレーターの場合は、大きな仕事を任されたり、イラストレーターとして知名度を上げたり、賞の受賞を目指すといったキャリアパスがあるでしょう。

もちろん企業に属してイラストレーターとして力をつけた後に、フリーランスのイラストレーターとして独立を目指す人も。イラストレーターとしての経験を活かして美術教師や画家といった別の職種に進む人もいるでしょう。

このようにイラストレーターは、働き方の選択もキャリアパスの選択も豊富にあります。いずれもメリット・デメリットがあり、途中でキャリアパスの方向性を変えることもできるでしょう。

イラストレーターは、好きや得意を活かして自分に合った働き方、キャリアパスを目指せる職種なのです。

評判・口コミ

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